ヒトはなぜ病気になるのか

f:id:r-sakima77:20180201165630j:plain

「病の起源 うつ病と心臓病」 NHK取材班

 

「ヒトはなぜ病気になるのか」

病気の根源にある発症の秘密は、人類あるいは生物の歴史・進化の極めて深い世界にある。

2013年に放送されたNHKスペシャル「病の起源」、4回シリーズのうち、「うつ病」と「心臓病」の2回分を盛り込んだ本。

 

うつ病は脳の防衛本能の暴走。

人類を含む脊椎動物の祖先である最古の魚は、わずか3センチほどの大きさで、その当時海で繁栄していた三葉虫アノマロカリスといった節足動物は最大で2メートルにも及んでいた。

そのなかで、生存していくために、天敵や外部の環境の変化に反応する「危険感知センサー」である偏桃体が備わった。偏桃体は、天敵などの危険情報を受け取ると、ストレスホルモンの分泌を指示し、ストレスホルモンが分泌されると、血糖値や心拍が上昇し、代謝が高まって全身の筋肉が活性化する。このメカニズムによって、生存競争を生き延びてきたのだ。

しかし、偏桃体を要とするメカニズムは、うつ病を引き起こすことが最近の研究でわかってきた。実験では、天敵の恐怖に1か月さらされつづけていたゼブラフィッシュが、水槽の底でじっと動かなくなり、群れを作らず一匹でいるようになる。さらに進むと、食欲や繁殖行動の低下などの症状もみられ、ヒトのうつ病と症状が似ているという。

 

また、平等や不平等にも偏桃体が関わる。

それは、人類の進化のなかで、集団で人と人との関係が重要になったことが理由として考えられるという。集団の中で他の人より損をすれば、本人の生存にとって不利になるから恐怖や不安を司る偏桃体が活動する。逆に他の人より得をする場合は、周囲のねたみを買い、集団から孤立するので生存にとって不利になり、偏桃体が活動する。平等であれば両方のリスクが生じないから反応しない。

 

狩猟採集時代は、得た食料を平等に分けあう社会だったが、文明が誕生し、農耕社会が訪れると、状況は一変する。

農業の技術が発達し、穀物の余剰が生まれると、それは「富」となり、人々に貧富の差が生まれる。そして階級社会へと移っていく。

階級社会は当然不平等であるので、うつ病が増えていく。

 

ほかにも、発達した脳による記憶力、ヒトだけが身につけた言語、孤独など、進化によってうつ病のタネが植え付けられている。 

 

現代の深刻化する貧困、多様化する職業(格差)、拡大する都市でのくらし(孤立)はよりうつ病の発生率を上げているとのこと。

人間の脳や体は700万年に及ぶ進化によって作られました。その歴史の99%以上は、狩猟採集の生活であり、農耕文明以降は1万年、現代社会に至っては、わずか100年あまりしかありません。つまり、私たちの脳と体は、現代社会の暮らしに対応し切れていないのです。ですから、祖先が行っていた規則正しい食事、そして、十分な睡眠と運動を心掛けることが生活習慣病を防ぎ、うつ病を予防・克服する基本となるのです。

 

話が飛ぶが、うつ病の仕組みがわかると、アドラー心理学の「共同体感覚」はとても有効な考え方だなと感じた。

 

 心臓病については、 冠動脈とかいろいろでてくるが、図がほとんどなく、イメージが湧きにくかったため、割愛。

直立歩行をすることによって、血圧の管理が他の動物より難しくなったようで、それに脳の発達が合わさって、人間の心臓は大変らしい(適当でスイマセン)。

 

病の根源的な原因を知ることにより、より根本的な予防や治療を考え、病との向き合い方も変わる一冊。

 

NHKスペシャル 病の起源 うつ病と心臓病

NHKスペシャル 病の起源 うつ病と心臓病

 

 

 

 

 

 

 

アルケミスト ~前に進む勇気

f:id:r-sakima77:20180128123323j:plain

アルケミスト

パウロ・コエーリョ

 

自分はどこからきて、今どこにいて、これからどこに行くべきか(どう生きるべきか)を考えるきっかけを与えてくれる小説。

1988年に出版され、全世界で1000万部を超えているそうだ。

アマゾンのレビューも438件と多く、評価も高い。

 

主人公のスペインの少年はエジプトのピラミッドのそばで宝物を発見する夢を見る。

その夢が何を意味するのか探しているときに、ある老人と出会う。

老人曰く、「おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれる。」と。その一方で、若いころはすべてがはっきりしていて可能だが、人は徐々に心が曇り、他人の評価が大切になり、失うことを恐れ、「自分の運命を実現することは不可能」だと思い込むようになるとも。

 

その後、少年は宝を求め、ピラミッドへの旅を始めるが、様々な困難が少年を襲う。

何度も挫けそうになるが、自分の心との対話のなかで、心は少年に話はじめる。

私は人の心ですからね。人の心とはそうしたものです。人は自分の一番大切な夢を追求するのが怖いのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。

それに対し、少年の師匠(のようなもの)であるアルケミストは、

「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいもの」であり、「夢を追求しているときは、心は決して傷つかない。」と語る。

その後、少年は心と丁寧に対話し、自分が本当に求めているものは何かを思い出し、過去や未来、不安や恐怖を克服していく。 

 

本のレビューのなかには、スピリチュアル的な感じがするというものもあるが、自分の言葉や自分の世界に置き換えて読んでいくと、そうではないことに気づくと思う。

 

言っていることはとてもシンプル。

 

※注意点

この本の世界にはまり込むと、脱サラしたくなる人もいるはず(笑)

(脱サラしたい人、必読!)

 

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

 

 

新インナーゲーム ~本当の自信とは

f:id:r-sakima77:20180118194525j:plain

「新インナーゲーム」 

W.T.ガルウェイ 著 後藤新弥 訳・構成

 

12月にパワーメーターをROTORからパイオニアに変更した。

大きく変わったのはベクトル表示。シクロスフィアの分析も細かい。

得られたデータをどう活用しようか考えていたら、4、5年前に読んだこの本のことを思い出し、再読してみた。

 

この本は1972年にアメリカで発表され、76年に日本語版が出たものを2000年に改訂したものだ。

当初はテニスの教本として出版したが、テニス以外のスポーツにも活用でき、仕事や人生にも示唆を与えるということで、長く読まれている。

 

  

2人の自分の発見

著者はまず、テニスのプレイヤーには2人の自分が同居しているとする。

  • ラケットの持ち方、手首の固め方、腕の高さ、振り方を指示する、命令者たる私=セルフ1
  • 実際にテニスをプレーする筋肉や体の器官の総体である、実行者である私=セルフ2

 そして、セルフ1が指示、命令、判断をするほど、感覚が鈍り、ベストのプレーができなくなるという。指示すればするほど、余計な筋肉にスイッチが入るのだ。

テニスプレイヤーがベストのプレーをしたとき、本人はボールを正しく打つにはどうしたらいいか思い出していないし、どこに打ちこむかすら考えてはいないのである。

 

セルフ1を静かにさせる

ベストのプレーをするにはまず、セルフ1を静かにさせることだ。

いい悪いと判断するから、感覚が鈍る。裁判癖をなくす。

それはエラーを無視することではない。起きたことをありのままに見る、しかし、それにプラスもしくはマイナスの付加価値をつけないということ。

プラスに考えることは良いことのように思えるが、一つの事象をプラスに捉えると、それとは逆のことをマイナスであると判断することに繋がる。

 

セルフ2を信頼する

セルフ2は素晴らしい器官であり、その知性を認めることが大事だ。

不必要な自分への指示、非難、集中力を途切れさせる過剰管理といった傾向を解消し、自分が主導してことを起こす(MAKE)のではなく、自身に任せて発生させる(LET)。

セルフ2はそもそも言葉のレッスンを翻訳することはできない。

自分が求める結果を出来得る限り鮮明にイメージし、やってくれないかと頼む。

それがセルフ2を信頼するということだ。

 

自分自身の技術を見つける

判断をしない、イメージを与える、自然に発生させる」がインナーゲームの原則的なテクニックだが、

「具体的には、ストロークの最中に、自分のリストの感覚に注意を集中・・・数球は柔らかすぎるほどの固さで打ってみる。数球は固すぎるほどで打ってみる。そのように自身を体験させていけば、おそらく自動的に、自身が答えを見つける」

ある者が経験から学び取った技術の知識を受け継ぐことは自分に適した技術を探る上で、効率を高めてくれるが、それを基準にして自身の技術を「正しい」「間違っている」と判断する基準にしてはならない

そもそも他人と自分は体格、筋肉の量、質、柔軟性、すべて異なる(組み合わせで考えれば同じになるはずがない)のであり、基準にはなりえないのだ。

自転車のペダリングでも、下死点付近では「抜重する」、「靴底の泥を落とすようにする」、「引き脚を使う」、上死点付近では「11時から送りこむ」、「1時で踏む」、「3時~4時で踏む」など、いろんな解説がある。人によって異なるのは、人それぞれ答えが異なるから。それを鵜呑みにして練習するのは時間の無駄だ(反省)。

 

悪い癖を修正するには?

そうは言っても一度身についた癖を修正するのは難しい。

ではどうすればよいか。習慣を変えるといいという。

上書きインストールとでもいったほうがよいだろうか。

以下はその手順

  • STEP1 新鮮な気持ちで観察して、変えたい箇所を見つける
  • STEP2 望む結果の具体的な画像を製作する
  • STEP3 セルフ2を信じ切る
  • STEP4 変化と結果を、「無判断」で観察する

 

集中方法を学ぶ

観察するには集中力が必要だ。

 心を静かにさせるためには、それ(雑念など)を追い払うのではなく、「どこかに置く」ことを体得しなければならない。

心がどこかに飛び去ろうとする度に、穏やかにそれを今に引き戻す。

(マインドフルネスそのもの)

 

コート上の人間ゲーム 

さて、ここまではテニスの上達のための話。これだけでもとても参考になるが、ここから先が本当に価値のある部分だ。

著者は、インナーゲームをプレーしながら、自分が本当は何を求めているのかを内省した。

やがて分かったのは、テニスコートでのテニスの上達や勝利だけを望んでいるのではないという事実だった。本当に欲していたのは、自分のベストをプレーし、楽しむことを妨げている、神経質さを克服することだった。

人生を通して著者の体内にずっと埋め込まれていた(著者は競争及び勝つことの意義を信じ切るよう育てられた)、内なる障害にうち勝つことだった。

 

競技の意味

また、勝利にどのような意味があるか、著者にとって長い間の謎だった。

競争や勝利を重視する考え方には、個人の価値は他人よりいかに強いか(他者との比較)で決まるという誤った価値観に結びつきやすいことに否定的な考え方を持っていたからだ。

そのため、いかに優れたプレーをするかが競技の意味だと信じていた。

しかし、エゴを抜きにした根本的な部分にも勝とうとする動機が隠されていることに気づいた。「勝つとはゴール(目的)に到達するための「障害」にうち勝つこと」なのだ。

対戦相手同士が相手を打ち破ろうとあらん限りの努力をする。これは、相手という人間を敵にしているのではなく、相手が「今、ここで」克服すべき障害を提供しようとしているにすぎない。

真の競争は、真の協力と等式で結ばれる。

 

コート外のインナーゲーム

テニスには、

  • 対戦相手によって提供される「アウターゲーム」
  • 自分の内にある心理的・感情的な障害と戦い、自分の真の能力を知り、それを発揮することを目的にプレーする「インナーゲーム」

がある。

人生の他の局面でも同じだ。あらゆる活動は、外側と内側の両方のゲームから成り立っている。目的と我々の間には、常に外側の障害が存在するが、外側の目的を達成しようとすると内側(心の中)に心配や後悔、困惑が起き、要らざるトラブルを引き起こす。

しかし、内側の障害への対応は常に同じでいい。「今、ここ」に集中することだ。

 

本当の自信とは 

我々は、学校生活、そして社会に出てからも競争にさらされ、意識的にも無意識的にも他者との比較、優劣を何らかの判断基準として用いていることがある。

自信をつける、自信がない、自信を持て、いろいろあるが、「自信」とはいったいなんだろうか。

自分のある部分を他者と比較し、優れていることで自信を持つということもあるかもしれないが、自分より優れている者が現れればすぐに失うことになる。

この種の自信を揺るぎないものにするには、世界一(宇宙一?)にならなければならない。

 誰であれ、自分のセルフ2を改善する必要は、生まれて死ぬまで、一切ない。

そもそも人間の本質には初めから何ら問題はないのだという確固たる真実を理解することが基本だ。(P272)

 

自分自身を正確に理解し、自分自身に隠し事がなくなること、そこから本当の自信に繋がるのではないだろうか。

 

 

 

新インナーゲーム (インナーシリーズ)

新インナーゲーム (インナーシリーズ)

 

 

スタンフォード式 最高の睡眠 ~睡眠の質は眠りはじめの90分で決まる

f:id:r-sakima77:20180113130559j:plain

スタンフォード式 最高の睡眠」 西野精治

 

最強の~、最高の~とかいろいろでてるけど、こちらは睡眠の科学。

現在わかっている睡眠のメカニズムをあまり理屈っぽくなり過ぎず、わかりやすく書かれている。

 

短時間睡眠でもすっきり目覚ることもあれば、長時間眠ってもだるい朝があることは、誰でも経験があると思う。その理由は入眠直後の90分間にあり、著者によれば、最初の90分をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれるという

(但し、ショートスリーパーでない限り、6時間は睡眠時間が必要とのこと。) 

 

では、最初の90分の質を高めるにはどうすればいいか。

子どものようにすぐ眠れる2つのスイッチは「体温」と「脳」であるとのこと。

 

個人的に参考になったのは、「体温」。

スムーズな入眠には深部体温が下がり、皮膚温度との差が縮まっていることが鍵になる(日中は深部体温が皮膚体温より2℃ほど高い)。

深部体温が下がるためには、毛細血管の発達した手足から熱放散が起こることが必要。

気持ちよく入眠する直前、手足がじわっと温かくなっていく感覚を感じている方も多いと思う。逆に、手足が冷えていると、寝付くのに時間がかかるのではないだろうか。

 

著者が体温をコントロールするためにおススメしている方法の一つは寝る90分前の入浴。入浴によって、深部体温を上げれば、その後、自然と下がっていくのでそのタイミングで寝るというもの。

しかし、忙しい現代人にとって、毎日時間を計って入浴するのも難しい。その場合は、足湯が有効とのこと。これは、足を温めることで、熱放散を促し、深部体温が下がりやすくなるようにするアプローチだ。

ちなみに、靴下を履いたまま寝るのは、足からの熱放散を阻害してしまい、寝つきが悪くなるとのこと。

 

「脳」については、あまり印象に残らなかったので割愛。

 

その他、なるほどと思ったのは、

・昼食後の眠気は腸に血流が増えるからではない。どんな状況でも脳血流は第一に確保される。朝食後眠いということはおこらないことからもわかる。ただし、理由はまだわかっていない。

 

・寝る前の2時間はもっとも眠りにくい。翌朝早いからといって、いつもより就寝時間を早めても寝つきは悪くなり、睡眠の質は落ちてしまう。

  

以下は一番印象に残ったところ。

どんな科学的な治療でもできない脳や臓器のメンテナンスが睡眠中だけできる。

科学者や医者が何人集まってもできない体内リズムのバランス調節が眠るだけで整う。

 

健康のために、サプリだとかいろいろお金をかけたりするけど、まずは睡眠を大事にしないとなと少し反省。

 

 

スタンフォード式 最高の睡眠

スタンフォード式 最高の睡眠

 

 

私の情動は私ではない

f:id:r-sakima77:20180108090824j:plain

 「Search Inside Yourself」チャディー・メン・タン

 

マインドフルネス瞑想の本。

 「Search Inside Yourself(SIY)」は、著者がグーグル社で創り上げたマインドフルネス(瞑想)に基づくEQ(情動的知能)カリキュラムのことだ。

 

本の内容を一言でいえば、科学に基づいた、自分自身の理解、人間の理解といった感じだろうか。

 

マインドフルネス瞑想の基本は、今ここにある自分自身に集中することである。

呼吸や身体に意識を集中し、何が起こっているかを認め、それに対して判断や反応をせずに経験する。気を散らす原因が去りたがってりるなら放してやればいいし、そうでないなら、放っておく。そしてまた、呼吸や身体に意識を戻していく。

 

マインドフルネス瞑想の基本で自分の心の動き(情動)を明瞭に認識できるようになれば、それをコントロールできるようになり、また、セルフモチベーションの技術を高めることもできるようになる。

また、共感を深め、愛情に満ちた優しさをもって人と関わることもマインドフルネスによって実践できる。

 

こういった話をテーマごとに段階を追って理論的な話から、エクササイズまで紹介されているので、理解もしやすいし、自分自身で実践していける内容になっていると思う。(ただ、日本語訳がちょっと硬いのでマインドフルネス自体を知らない方には読みにくさがあるかもしれない。)

 

「7つの習慣」との共通点も多い。本書は7つの習慣を身につけやすくする具体的なトレーニング法にもなるのではないかと思った(本のなかでは7つの習慣の話は全く出てこない)。

 

以下は最も印象深かった表現

「 瞑想の伝統の中には、~ 美しいたとえがある。思考と情動は雲に似ていて、美しいものもあれば、暗いものもある。一方、私たちの核を成す存在は空のようなものだ。雲は空ではなく、空で起こる現象で、現れては消える。同様に、思考と情動は私たち自身ではなく、心と体で起こる単なる現象で、現れては消える 」

 

情動に心が支配され、自分の情動が自分だと考えるようになってしまうと、自分のコントロールできないことに反応し、周囲の影響を受け、ストレスで押しつぶされてしまう。

刺激と反応のあいだには間隔があることを認識し、コントロールする力を与えるのがマインドフルネスである。

 

ストレスを感じやすい方にはとてもおススメの本(もちろんそうでない方にもおススメ)。

 

 

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

 

 

 

 

 

 

 

最優先事項を優先するために

f:id:r-sakima77:20180103092359j:plain

 

新年あけましておめでとうございます。

昨年末に突然始めたブログですが、マイペースで無理なく継続していきたいと思っています。ブログタイトルにあるように自転車と読書が中心になる予定ですが、あまり枠にはめないようにするつもりです。今年もよろしくお願いします。

 

ということで、今回は手帳の話。

ここ2年ほどほぼ日手帳を使用してきた。

手帳自体は1日1ページ、たっぷり書けてまぁまぁ使い勝手も良かった。
だが、ここ最近は仕事やプライベートでやりたいことが沢山あるのに、いつも時間が足りなくて(あるはずなのに)、すべて中途半端になっているような気がしていた。

 

そこで時間管理の仕方を抜本的に変えるために、今年はフランクリンプランナーという手帳に変更。

この手帳の特徴を簡単にいうと、「今この時間を本当に自分にとって重要で価値のあることに投資すること、自分の有意義な人生のために貴重な資源を有効に使うこと」を助けるツールとして作られていること。

7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)の第3の習慣、「最優先事項を優先する」を実践するツールともいえる。

 

この第3の習慣、簡単に説明すると、

f:id:r-sakima77:20180103101250j:plain

上の写真、「時間管理のマトリックス」のうち、第Ⅱ領域(右上)の部分に使える時間を増やしていくというもの(簡単すぎるか(^-^;)。

時間管理がうまくできていない場合、第Ⅰ領域の緊急かつ重要な仕事に振り回され、少ない空き時間を緊急だが重要でない第Ⅲ領域の活動に費やしてしまいがちだ。

 

では、何が第Ⅱ領域の活動にあたるのか、というところについては、まず、自分自身の価値観を明確にすることからスタートしなければならない。

価値観を明確にし、それに基づく目標を定め、週間計画、日々の計画に落とし込んでいく。

 

うまく説明できないが(まだ自分の中に落とし込めていない)、手帳自体の雰囲気はそんな感じ。

この手帳を使いこなすのは難しそうだが、やってみる価値はあるはず。

 

以下は手帳の週の初めに書いてある言葉

「大切なことは、スケジュールに優先順位をつけることではなく、優先すべきことをスケジュールにすることなのである。」スティーブン・R・コヴィー

 

 

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

  • 作者: スティーブン・R・コヴィー,フランクリン・コヴィー・ジャパン
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: ハードカバー
  • この商品を含むブログ (9件) を見る
 

 

覚醒せよ、わが身体。 ~基本は絶えざる実験

f:id:r-sakima77:20171224173014j:plain

覚醒せよ、わが身体。

トライアスリートエスノグラフィー

 八田益之 田中研之輔

 

トライアスリート向けの本だと思っていたが、いい意味で裏切られた。

 

4章で構成されていて、第1章ではトライアスロンや自転車などの耐久スポーツになぜ人々がはまっていくのか、著者自らトライアスリートとして競技を続けていくなかで、市民トライアスロンの現場感覚に、学術理論とを対話させるエスノグラフィーの手法(集団や社会の行動様式をフィールドワークによって調査・記録する社会学の手法らしい)によって、探求している。

 

第3章と第4章は著者自身が、世界のトライアスリートたちの至高の目標、プロ・アマともに世界一を決めるアイアンマン世界選手権コナ大会へ挑戦する過程を記している。この2つの章はトライアスリートであれば、かなり引き込まれそうだ。

 

個人的には第2章が最も印象深かった。一部紹介すると、

練習段階での苦痛と忍耐が必要という考えを否定し、「現実の勝負において、苦痛とは、解体し、支配する対象」であり、「勝利の条件は、世間で苦痛と呼ばれているものの正体を見きわめ、その中から自らがコントロール可能な要素を見抜くこと」と捉えている。

また、トライアスリートや自転車乗りは心拍計やパワーメーターなどを使って日ごろからトレーニングをし、その数値に一喜一憂しているが(自分もそう)、「身体のリアルは、少なくとも現在の測定機器で捉えられるほど単純」ではなく、大事なのは、自分の身体に「着目」し、「頭の知識と身体の感覚とをつきあわせ、両者の距離を試行錯誤の中で詰めてゆく」ことだと述べている。この部分については、最近自転車選手を引退した西園良太氏のブログにも紹介されている。

http://nishizonoryota.blogspot.jp/2017/12/blog-post.html?spref=tw

 

「単純な忍耐の積み上げではなく、試行錯誤を幾重にも積み重ねた知的経験だからこそ、それは身体化された思考となり、極限下でも使いこなすことができる」とも。

基本は絶えざる実験だ。

 

 

本の目的は「この世界独自の身体的世界の深さ、その現代社会との相互作用を、理屈よりも知覚のレベルでお伝えすること」とのこと。十分すぎるほど達成されていると思う。 

 

理論的だが、情熱的な文章で、あとがきの最後の段落には思わずほろり。

著者がトライアスロンを通して得た一つの回答は、かけがえのない、真に価値のあるものだった。

 

 おススメです。