太閤秀吉亡き後、天下簒奪に向けて周到に謀略をめぐらす家康。太閤の遺命に従い、豊臣家の安泰を守ろうとする三成。その周りで、次期権力者は家康であるとみていち早くすり寄る者、東西どちらにつくのが得策か様子見する者、さらには漁夫の利を得ようと活動を始める者など、関ヶ原の戦いの起点から三成の最後までを描いた歴史小説。
太閤に恩を感じながらも自家のため家康に与していく人間臭さ、人間模様が細かく描かれていて面白い。合戦の描写も迫力満点。
印象に残ったのは、三成の最後。自身の正義を貫き通した。
小説読み終わって、ちょうどタイミングよく、映画「関ヶ原」がレンタル開始されたので、そちらも観てみた。
う~ん・・・
2時間半でこのスケールを描くのは無理があるのか。
まず、各大名の人間関係や心の動きがわかりにくい、というか描くには時間不足。
予備知識がないと何が起こってるのかわからないかも。
小早川秀秋はだいぶ印象が違う。裏切り行動の開始は家康の鉄砲隊による威嚇ではなかった。
福島正則は影が薄い。小山軍議から関ヶ原前哨戦までに果たした役割の大きさ(黒田長政の働きかけ)、太閤に恩を感じながらも三成憎しで東軍に属して猪突猛進していく様子などは描ききれていない。
大谷吉継の獅子奮迅の戦ぶりはもう少し見たかった。
岡田准一の石田三成。イケメンすぎるのかなぁ。へいくゎい者(横柄者)と言われ、諸大名に嫌われていた部分を描こうとしてはいたが、あまり感じられない。
辛口になってしまったが、映画では人間模様を描くにはどうしても限界があるはず。
映画と小説は全く別物と考えて楽しんだほうがよいだろう。