映画・ギフテッド 教育に必要な本物の愛

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gifted・ギフテッド

 

 劇場公開時に観たかったけど、なかなか行けず、最近レンタル開始されて、ようやく観れたーって感じなので、忘れないうちに感想などを書いてみた。

  

 

あらすじ

生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーの天才的な特別な才能(Gifted・ギフテッド)が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。

メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母イブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうとする。そんな母に抵抗し、養育権をめぐる裁判にのぞんだフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。

メアリーの教育方針に悩みながらも、彼女の特別扱いを拒むフランク。孫の特別な才能を活かすためには英才教育を施すことが必要で、それが本人の幸せであると主張するイブリン。

メアリーにとって本当の幸せとは?

  

教育とは?

メアリーの母親であるダイアンは、天才的な数学者だったが、メアリーを生んですぐ自殺してしまっている。その背景には、母イブリンに対する恨みや怒りがあったようだ。

イブリンはいわゆる「毒親」といっていいだろう。

イブリンは、ダイアンに英才教育を施し、数学の研究に没頭するような人生を歩ませた(強制した)。

イブリンは自分が果たせなかった人生を、ダイアンに託そうとしていたように見える。

そして、ダイアン亡き今、その矛先がメアリーに向かっている。

しかし、自分の人生で果たせなかった夢を子どもや孫に実現させようとするのは、教育ではない。ただのエゴだし、うまくいって結果が出たとしても、教育した本人が本当に満たされるかは疑問だ。

以前書いた「愛するということ」でフロムは、以下のようにいっている。

自分の人生に意味を見出せない人は、そのかわりに子どもの人生に意味を見出そうとする。しかし、それでは自分の人生にも失敗するし、それだけでなく、子どもにも誤った人生を送らせることになる。なぜ自分の人生に失敗するかといえば、それは、いかに生きるかという問題は、本人によってしか解決できず、身がわりを使うわけにはゆかないからだ。どうして子どもに誤った人生を送らせることになるかといえば、そういう人は、子どもが自分で答えを見出そうとしたときに導いてやれるだけの資質に欠けるからだ。(152ページ)

 

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愛のかたち

イブリンはメアリーを愛しているというより、メアリーの「才能」を愛している。

それに対し、フランクはメアリーの意思を尊重し、彼女自身の幸せを考えている。

はっきりしたわかりやすい愛情表現や言葉がたくさんでてくるわけではないが、普段の何気ないコミュニケーションの描写にそれがあらわれている。

フランクはメアリーを尊敬していると言っていいだろう。

フロムは、尊敬を愛の一つの要素だといっている。

そして、尊敬とは、「人間のありままの姿をみて、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと」、「他人がその人らしく成長発展してゆくように気づかうこと」といっている。

フランクのメアリーに対する尊敬は、愛のあらわれ、愛のかたちだ。

 

ところどころで名言が

ところどころで深みがあったり、ほっこりする言葉がでてくる。

 

神様はいる?」とのメアリーの質問にたいし、「わからない、誰も知らない」と答えるフランク。

信仰心を持っていることと知っていることとは違うという。

「キリストは神様なの?」とのメアリーにたいし、

「知らない。考えはあるが俺の考えだ。お前に押し付けたくない。」とフランク。

自分で考えること、でも信じることを恐れてはいけないという。

俺たちは何があっても一緒だ。それが質問だろ?

 

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まとめ

全体を通して貫いている一つのテーマ、柱は、やっぱり「愛」かな。

この映画すごい!とか、涙が止まらない!という感じではないし、ちょっとくさいシーンもあるけど、全体的にはほんわかするいい映画だった。

 

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我フレッドを思う、ゆえに我あり