パイオニアのサイクル事業部のシマノへの一部譲渡が発表されて、まだ日も浅く、ちょっとした喪失感も感じているが、いいもののインプレは残しておきたいので、10カ月近く使った感想を今更ながら書いてみる。
視認性が高い
日が昇りきった日中、まだ薄暗い早朝、どんな時間帯でも、数字や文字をはっきり読み取れる。輝度やコントラスト、カラーが絶妙に調整されていると感じる。
また、多様なグラフが用意されていて、情報を瞬時に感覚的に把握することが可能だ。
私の場合、通常のライドではパワーレベル、ローラー練習ではトレーニングメニュー全体像のグラフを表示させることが多い。
パワーレベルのグラフは、苦しいときでも、自分が今どの領域のパワーを出しているか一瞬で把握できる。ローラー練習では、CA600にメニューを入れている状態ならば、メニュー全体のどの部分を行っているのかがわかる。
(写真を載せたかったが、実際に目で見た状態と同じような感覚の写真が撮れなかった。残念)
Bluetooth送信ができる唯一のサイコン
CA600は、ANT+で受け取ったパワーの値をBluetoothに変換、送信する機能を持っている。この機能は地味であまり注目されていないが、ZWIFTを楽しむにはとても便利だ。
ZWIFTをANT+接続で行う場合、通信距離が短いため、ANT+ドングルをパワーメーター近くまで延長する必要があるが、これが意外と面倒くさい。汗が大量に落ちるクランクの近くにANT+ドングルを置くのは精神衛生上あまりよくないし、ローラー練習の準備をするたびにUSBの長いケーブルを引っ張りだすのも億劫だ。
CA600があれば、Bluetoothに対応していないパワーメーターやペダリングモニターを使っていても、Bluetoothでパワーを送信できるので、ZWIFTをBluetooth接続でプレイできるようになる。
他社のサイコンでこの機能がついている機種はおそらくない。
発売後3回のアップデートにより大幅に機能向上
これまで3回ほどアップデートされていて、大幅に機能が向上した。
2019年6月のアップデートでは、ANT+ライト対応、地図リニューアル、
2019年11月は、到着予想時間、自動キューポイント、バーチャルパワー、バーチャルCda(エアロ効果の測定)、獲得標高表示、ラップリスト表示、
2019年12月は、標高目盛りの縮尺レンジ変更、通知メッセージの改善、アプリとの同期改善など、発売後1年足らずでここまでアップデートしている。
特にバーチャルパワーやバーチャルCdaは他社のサイコンにはない機能で(たぶん)、特筆すべきものだ。
バーチャルパワーは、パワーメーターを持っていない人でもパワートレーニングの感覚を知ることができるという意味で画期的だし、バーチャルCdaの発想も面白い。
弱点
ハード自体には弱点らしい弱点はない。
問題はデータアップロード先のシクロスフィアやスマホのコントロールアプリなどソフト面だった。
シクロスフィアは、サーバーの問題でログがすぐに確認できないことがちょくちょくあった。
事業譲渡によりシマノが新しいサイトを開設するようなので、そこには期待したい。
まとめ
このところのアップデートにより大幅に機能向上し、これが続けば他社のサイコンから頭一つ抜けた存在になるのではないかと思っていただけに、今回の事業譲渡のお知らせは残念である。
事業譲渡の交渉はそれなりに時間がかかるはずだ。
今思えば、現場には上のほうからある程度前からその方針が伝えられていたかもしれないが、現場の意地でここまでアップデートしてくれたのかな、と想像したりする。
パワーメーター普及黎明期に、独創的なアイデアをもって果敢に挑戦されたパイオニアのスタッフの皆様には感謝したい。ありがとうございました。