読書

栄養素が体内でどのように利用されるかまで考える

超人をつくるアスリート飯 山田豊文 ロードバイクで身体を酷使するようになってから10年以上 年齢を重ねるごとにリカバリーに時間がかかり、40代も半ばを過ぎて、負荷の高い練習の頻度も自然と少なくなってきた。 仕方のないことだが、少しでも抗うべく…

果糖の摂りすぎに注意! 〜肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか

肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群Ⅱ 清水泰行 本のタイトルは新型コロナが中心のようだが、内容は糖質過剰摂取の害を広く深く(かなり深め)取り上げている。 今回はその中で最も印象深かった「果糖」について。 果糖はいわば…

呼吸と体幹の安定 〜勝者の呼吸法

勝者の呼吸法 森本貴義・大貫崇 一言で内容をまとめると、 「呼吸が体幹の安定に重要である」 という本だが、人間の身体の左右非対称性について、 内臓の配置から横隔膜や呼吸に関係してくることをわかりやすく 解説してあり、スポーツ全般の動きで参考にな…

大人も気づかされる、親子で読みたい本 ~生き抜くチカラ

生き抜くチカラ ボクがキミに伝えたい50のことば 為末 大 陸上のハードル選手だった為末大氏だが、個人的には、現役時代より引退後の方が印象深い。 その為末氏が、人生で大事だと考えていること、子どもたちに伝えたいことをわかりやすく書いた本。 「諦め…

感染症を理解し、withコロナを考える 〜感染症の世界史

感染症の世界史 石 弘之 新型コロナウィルスの第2波か、感染者数が増えている。 報道は、日々の感染者数が大きく取り上げられるので、ヒステリックに感じることが多い。 客観的な情報を冷静に分析している記事もあるが、あまり目立たない。 情報を冷静に選別…

ストレスは悪者じゃない。 ~ストレスを力に変える教科書

スタンフォードのストレスを力に変える教科書 ケリー・マクゴニガル 緊急事態宣言、休業要請、外出自粛… 4〜5月の新型コロナウィルスの影響はすさまじかった。 普通の生活ができないことで、DVや児童虐待、自粛警察など、ストレスを起因とした問題も発生して…

呼吸の認識が変わる! 〜人生が変わる最高の呼吸法

人生が変わる最高の呼吸法 パトリック・マキューン著 桜田直美訳 運動で苦しいときや疲れを感じたときには、たくさん酸素を取り入れるために大きく呼吸(深呼吸)しよう。 これは多くの人があまり疑問を持たずに信じたり、実践していることではないだろうか…

自分自身を大切にし、自然治癒力を導きだす ~オステオパシー医が語る自然治癒力

いのちの輝き ロバート・C・フルフォード&ジーン・ストーン 不思議な本である。 帯には吉本ばななが以下のように書いている。 読んでいるだけで、あせり、いきりたった心がなぜか落ちついてきて、自分の心身にごくふつうに気をくばるというあたりまえの大…

男女の違いをEQで乗り越える ~EQ こころの知能指数 vol.2

EQ こころの知能指数 ダニエル・ゴールマン EQについて二つ目の記事になる。 前回の記事では、私たちの脳で情動のハイジャックが起こる仕組みを説明し、 ・「感じる知性」と「考える知性」のバランスが人生の質を向上させること ・EQの領域は5つあり…

自分自身の情動を知ることがEQの基礎 ~EQ こころの知能指数 vol.1

EQ こころの知能指数 ダニエル・ゴールマン 有名大学出身で採用試験はトップで通過したけど、仕事ができない。周囲と協調して動けない。 「あの人、勉強はできるのにね・・・」 IQは高いのに、社会でうまく生きていけない。 その理由を本書の言葉で説明…

死を通じて見つめる人生の意味 ~イワンイリッチの死

イワン・イリッチの死 トルストイ 生まれたら、必ず死ぬ。自分自身もこの世に生を受けた以上、必ず死を迎える。頭ではわかっているが、実際に自分のことと受け止めることは難しい。 イワン・イリッチは帝政ロシアの官吏。 若いうちは、ある地方の県知事の秘…

圧倒的状況における人間の考察 ユダヤ人心理学者のナチス強制収容所の体験記 ~夜と霧 

夜と霧 ヴィクトール・E・フランクル フランクルはウィーン大学でフロイトやアドラーに師事して精神医学を学び、ウィーンの精神病院で働いていたが、1942年にナチスの強制収容所に入れられた。 この本の原題は“Ein Psychologeerlebt das Konzentrationslager…

復帰前の沖縄を感じることによって見えてくるもの ~宝島

541ページもあるが、一気に読み終えた。 舞台は1952年から1972年、米軍占領下の沖縄。 戦後の混乱のなか、食料も生活必需品も不足しているなかで、米軍基地に侵入し、その豊富な物資を奪って生活の糧にしていたのが戦果アギヤー。 1952年、おんちゃんと呼ば…

人は誰でも幸福になることができる。そのために必要なのが共同体感覚。 ~アドラー心理学 その4

アドラー心理学の概要その4。 その1では、人は誰もが同じ世界に生きているのではなく、自分が意味づけした世界に生きていること、過去の出来事で現在の状況をすべて説明することはできず、そこには隠された目的があることなどを書いた。 その2の内容は、…

悩みの源泉は対人関係にあるが、生きる喜びや幸せもまた、対人関係にある ~アドラー心理学 その3

前回は、人間を動かす原動力になっている「劣等感」や「優越性の追求」について書いた。これらがあるからこそ、人は今よりも優れた存在になろうと課題に立ち向かったり、努力したりする。しかし、それが強すぎると逆に課題から遠ざかろうとする。 前回の記事…

人それぞれ一歩ずつ前へ進む 「劣等感」と「優越性の追求」 ~アドラー心理学 その2

前回は、「意味づけを変えれば、過去、今、未来が変わる」と題して、目的論やライフスタイルについて紹介した。 今回は、人間を動かす原動力となっている「劣等感」と「優越性の追求」について書く。 優越性の追求は人間の普遍的な欲求 見かけの因果律と劣等…

意味づけを変えれば、過去、今、未来が変わる ~アドラー心理学 その1

前回の性格に関する記事を受けて、勇気づけに関する記事を予定していたが、ここで一旦、自分自身の思考の整理の意味も含めて、4~5回に分けてアドラー心理学の概要をまとめてみることにした。 Eテレ「100分de名著」で過去に放送された「人生の意味の心理…

性格は、人がどんなふうにこの世界に向き合うかという方法 ~『性格はいかに選択されるのか』 アドラー心理学

「私は生まれつき、こんな性格だから」 「短気なのは父親の血を受け継いでいるからだ」 「子どものときのあの出来事が原因で、私の性格はこうなった」 「ネクラ、ネアカ」 自分や他者の性格、あるいは自身が困難にぶつかったとき、このようなことを考えたり…

文明は人間を幸福にしたのか ~『サピエンス全史』

サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之 訳 2014年に出版、2016年に日本語訳が出て、世界的ベストセラーになっている本書。 内容としては、「認知革命」、「農業革命」、「科学革命」が3本の柱となっている。 全体的に、これまでの認識を覆させら…

【小説】蜜蜂と遠雷 世界は音楽であふれている

蜜蜂と遠雷 恩田陸 小説に夢中になり、その世界に引き込まれているとき、文字を読んでいる感覚がなくなっていき、 人物や景色を眺めているような感覚になることがある。 この小説は、それに加えて、「音楽」が流れてきた。 物語の舞台は、3年ごとに開催され…

瞑想(マインドフルネス)を脳科学から知る

世界のエリートがやっている 最高の休息法 久賀谷 亮 瞑想やマインドフルネスと聞くと、スピリチュアルな印象を持つ方もいるかもしれない。 この本は、イェール大学で脳科学の研究者として実績を積んだ後、アメリカで精神科医として働いている日本人医師が、…

なぜほめてはいけないのか。アドラー心理学の自立、愛とは。

以前勇気二部作ということで記事を書いたが、理解不足、消化不足で中途半端な内容になっていたので、「なぜほめてはいけないのか」を中心に、「幸せになる勇気」の後半部分を織り交ぜながら、自分なりのまとめをしてみる。この本の後半部分ではフロムの「愛…

疲れにくい体、疲れても回復しやすい体、疲れを溜め込まない体になるためには

スタンフォード式 疲れない体 山田 知生 今週は疲れが溜まり体調不良だった。 疲れが溜まると頭も体もキレがなくなり、ストレスが溜まる。 ストレスは疲れをさらに蓄積し、悪循環におちいる。 気づいた時には、ちょっと休息したぐらいではまったく疲れがとれ…

スポーツ栄養学をメカニズムから知る

スポーツ栄養学 寺田新 この本は、スポーツにおいて「回復やパフォーマンスの向上にはこういう食事をとるべき」というような直接的な内容ではなく、「なぜそのように摂取すると効果的なのか?」というメカニズムを細胞レベル、分子レベルで解説することを目…

不滅の遺伝子

利己的な遺伝子 リチャード ドーキンス リチャード・ドーキンスはイギリスの進化生物学者、動物行動学者。 この本の初版の出版は1976年。今回読んだものは40周年記念版。 この本の内容を一言で説明すれば、 「すべての生物は、遺伝子を運ぶための生存…

愛の技術 ~愛するということ

愛するということ エーリッヒ・フロム エーリッヒ・フロム(1900.3.23~1980.3.18)はドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者。 代表作にファシズムの心理学的起源を明らかにした「自由への逃走」がある。 そのフロムが1956年に書いた本。原題は「T…

3月トレーニングまとめ

2018年3月 走行距離:798.39km 走行時間:31h46m 獲得標高:5,761.5m 消費エネルギー:15,659kj 2月はかなり練習さぼってたので、なんとか火をつけようとした。 一応着火したけど、消えそう(笑) しかも、最終週に胃腸炎になってしまった。 仕事も忙しいし…

ヒトはなぜ病気になるのか その2

「病の起源 がんと脳卒中」 NHK取材班 ちょっと前に「ヒトはなぜ病気になるのか」というタイトルでうつ病と心臓病についてブログを書いた。今回はがんと脳卒中の本。 病気の根源にある発症の秘密は、人類あるいは生物の歴史・進化の極めて深い世界にあるとい…

わからないと思って付き合う

人を理解することは難しい。 そもそも、自分自身のことさえ理解しているかわからないのに、 他者のことを理解するのはとても困難なことだと思う。 上の写真は沖縄タイムスで毎週月曜に連載されている「うちの火星人」。 家族6人のうち、父を除いて、母と子…

思いやることも、思いやられることも、縦の関係に繋がる

アドラー心理学入門 岸見一郎 「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」の著者がアドラー心理学がブームになる前の、1999年に書いた本。 上の勇気二部作は哲学者と若者の対話を通してアドラー心理学を理解していく形式になっていたため、普通の解説的なものを読ん…