映画・ギフテッド 教育に必要な本物の愛

f:id:r-sakima77:20180611185419j:plain

gifted・ギフテッド

 

 劇場公開時に観たかったけど、なかなか行けず、最近レンタル開始されて、ようやく観れたーって感じなので、忘れないうちに感想などを書いてみた。

  

 

あらすじ

生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーの天才的な特別な才能(Gifted・ギフテッド)が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。

メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母イブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうとする。そんな母に抵抗し、養育権をめぐる裁判にのぞんだフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。

メアリーの教育方針に悩みながらも、彼女の特別扱いを拒むフランク。孫の特別な才能を活かすためには英才教育を施すことが必要で、それが本人の幸せであると主張するイブリン。

メアリーにとって本当の幸せとは?

  

教育とは?

メアリーの母親であるダイアンは、天才的な数学者だったが、メアリーを生んですぐ自殺してしまっている。その背景には、母イブリンに対する恨みや怒りがあったようだ。

イブリンはいわゆる「毒親」といっていいだろう。

イブリンは、ダイアンに英才教育を施し、数学の研究に没頭するような人生を歩ませた(強制した)。

イブリンは自分が果たせなかった人生を、ダイアンに託そうとしていたように見える。

そして、ダイアン亡き今、その矛先がメアリーに向かっている。

しかし、自分の人生で果たせなかった夢を子どもや孫に実現させようとするのは、教育ではない。ただのエゴだし、うまくいって結果が出たとしても、教育した本人が本当に満たされるかは疑問だ。

以前書いた「愛するということ」でフロムは、以下のようにいっている。

自分の人生に意味を見出せない人は、そのかわりに子どもの人生に意味を見出そうとする。しかし、それでは自分の人生にも失敗するし、それだけでなく、子どもにも誤った人生を送らせることになる。なぜ自分の人生に失敗するかといえば、それは、いかに生きるかという問題は、本人によってしか解決できず、身がわりを使うわけにはゆかないからだ。どうして子どもに誤った人生を送らせることになるかといえば、そういう人は、子どもが自分で答えを見出そうとしたときに導いてやれるだけの資質に欠けるからだ。(152ページ)

 

f:id:r-sakima77:20180611185625j:plain

愛のかたち

イブリンはメアリーを愛しているというより、メアリーの「才能」を愛している。

それに対し、フランクはメアリーの意思を尊重し、彼女自身の幸せを考えている。

はっきりしたわかりやすい愛情表現や言葉がたくさんでてくるわけではないが、普段の何気ないコミュニケーションの描写にそれがあらわれている。

フランクはメアリーを尊敬していると言っていいだろう。

フロムは、尊敬を愛の一つの要素だといっている。

そして、尊敬とは、「人間のありままの姿をみて、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと」、「他人がその人らしく成長発展してゆくように気づかうこと」といっている。

フランクのメアリーに対する尊敬は、愛のあらわれ、愛のかたちだ。

 

ところどころで名言が

ところどころで深みがあったり、ほっこりする言葉がでてくる。

 

神様はいる?」とのメアリーの質問にたいし、「わからない、誰も知らない」と答えるフランク。

信仰心を持っていることと知っていることとは違うという。

「キリストは神様なの?」とのメアリーにたいし、

「知らない。考えはあるが俺の考えだ。お前に押し付けたくない。」とフランク。

自分で考えること、でも信じることを恐れてはいけないという。

俺たちは何があっても一緒だ。それが質問だろ?

 

f:id:r-sakima77:20180611185555j:plain

 

まとめ

全体を通して貫いている一つのテーマ、柱は、やっぱり「愛」かな。

この映画すごい!とか、涙が止まらない!という感じではないし、ちょっとくさいシーンもあるけど、全体的にはほんわかするいい映画だった。

 

f:id:r-sakima77:20180611185658j:plain

我フレッドを思う、ゆえに我あり

 

疲れにくい体、疲れても回復しやすい体、疲れを溜め込まない体になるためには

f:id:r-sakima77:20180609081842j:plain

スタンフォード式 疲れない体

山田 知生

 

今週は疲れが溜まり体調不良だった。

 疲れが溜まると頭も体もキレがなくなり、ストレスが溜まる。

ストレスは疲れをさらに蓄積し、悪循環におちいる。

気づいた時には、ちょっと休息したぐらいではまったく疲れがとれなくなっている。

そんな疲労困憊のときにタイミングよくこの本が届いたので、藁にもすがる思いで読んだ(笑)

 

本書はスタンフォード大学のアスレチックトレーナーであり、金メダリストや全米記録保持者をサポートしている著者が、「疲労予防」と「疲労回復」のメソッドをまとめたもの。

 

 

 

疲れとはなにか

 自分がなぜ疲れているのか、根本的な原因を考えたことがあるだろうか。

病気を治療する際に原因が何かを調べるように、疲れの原因を調べなければ、疲労を根本的に解消することはできない。

 この本では、「筋肉と神経の使いすぎや不具合によって体の機能に障害が発生している」状態を疲労の定義としている。

 神経についていえば、神経の司令塔は脳であるため、疲労の原因は脳にあるといってもいい。

 

神経や脳の疲労の原因は何か

この脳疲労を防ぐために著者が特に注意しているのが、「体の歪み」。

体が歪んでいると中枢神経からの指令が体の各部に伝わりにくくなり、体の歪みをかばうために無理な動作をし、ちょっとした動きにも必要以上に負担がかかる。

そのため、「疲れやすい体=歪んだ姿勢の体」になりやすい。

そして、体の歪みと密接に関連しているのが、「体内の圧力」だという。

体内の圧力を高めることによって、体の歪みを正すそうだ。

 

体内圧力を高める、疲労予防「IAP」メソッド

 具体的には、体内の圧力を高めて疲労をブロックする、「IAP呼吸法」を用いる。

「IAP」とはIntra Abdominal Pressureの略で、日本語に訳すと「腹腔内圧(腹圧)」。

この呼吸法は、息を吸うときも吐くときも、お腹の中の圧力を高めてお腹周りを固くする呼吸法で、お腹周りを固くしたまま息を吐ききるのが特徴。

 

IAP呼吸法を実践すると、以下の効果が期待されるという。

  • 腹圧が高まることで、体の中心(体幹と脊柱)がしっかり安定する
  • 体幹と脊柱が安定すると、正しい姿勢になる
  • 正しい姿勢になると、中枢神経と体の連携がスムーズになる
  • 中枢神経と体の連携がスムーズになると、体が「ベストポジション」(体の各パーツが本来あるべきところにきちんとある状態)になる
  • 体が「ベストポジション」になると、無理な動きがなくなる
  • 無理な動きがなくなると、体のパフォーマンス・レベルが上がり、疲れやケガも防げる

(P72)

 

IAP呼吸法の具体的な実践方法やメカニズムは、以下のリンクに本に挿入されている図までついて解説されているので興味のある方は参照してほしい。

www.lifehacker.jp

 

 

寝る前にIAP呼吸法を実践するべし 

IAP呼吸法は所要時間が1~2分と短く、いつでもどこでも実践しやすいが、著者は寝る前に行うことを推奨している。

IAP呼吸法のカギを握る横隔膜には自立神経が集中していて、ゆっくりとした呼吸による横隔膜の動きが副交感神経を優位にし、ぐっすりと眠れるからだ。 

 

f:id:r-sakima77:20180609092904j:plain

ニーバリのお腹はすごい。これも腹圧なんだろう。



それでも疲れてしまったら

本書の肝はIAP呼吸法により、疲れとダメージを最小限にする体づくりであるが、「もうすでに疲れている」ことにたいする対症療法、疲労回復法についても言及している。

疲労を回復する「動的リカバリー」

私たちは、体が凝ってくると伸びやストレッチを行って、筋疲労の回復を図るが、一次的な回復にはなっても、抜本的な解決にはつながらないという。
なぜなら、体の硬化はあくまで「疲労の結果」であり、原因に隠れているのは「体に妙な癖がついている」ことだから。

また、疲れているからといって体を動かさないのはさらに疲労を助長する。

そこで、疲れているときこそ、軽い運動をするべきだが、中枢神経を刺激して、体との連携をスムーズにし、体の癖をリセットすることが必要だ。

具体的には、疲労に効くとされる「軽い有酸素運動」の前後に、あるリセット法を加えることで、体の癖の修正を行いながら、疲労回復効果を高めるという。

リセット法は、まず、有酸素運動前に、軽いスキップや重心を移動するジャンプなど、体のバランスを取りながら行う軽い運動をし、有酸素運動後に、左右のバランスを取りながら縮んだ筋肉を緩めるという流れになっている(図を中心に説明されているので、ここでは紹介が難しい(>_<))。

 

その他、肩こり、腰痛、目の疲れに効く体操もあるがこちらも図が中心。

 

スタンフォードでも実施している回復浴

スタンフォード大学では専用の設備があり、温冷浴を実施している。

温冷浴の効果は主に2つ。

  1. 血管の収縮と拡張が繰り返されることで血流がよくなる。
  2. 自立神経のバランスが整う。 

その結果、疲労軽減の効果があるという。ただし、筋肉痛には直接的な効果はなさそうだとのこと。

また、専用の設備のない家庭で行う場合の方法についても記載されている。その際に重要なのは、12分を超えないこと、入浴前後でコップ一杯の水を飲むことだそうだ。

 

 

食事はやっぱり重要

やっぱりというか、当然というか、食事についても書かれている。

目新しいことはそんなにないのだが、最近自分が陥っていたのは「甘いもの」。

この本では、精製された砂糖を含む甘いものはできるだけ控えるよう勧めている。甘いものは「禁断の疲労食」だと…

 よくない食べ物を接種すると、すぐにダメージとなって疲労や倦怠感が表れる。「毒」は「薬」より早く回る。とくに、飲み物に関しては、食べ物より消化・吸収が早いと言いう点で、要注意だ。

 

(なぜ、そういう現象が起きるのか、メカニズムから栄養について考えるには、この前記事にした以下の本がとても良かった。今回の本はその部分は非常にあっさりしている。)

rj77.hatenablog.com

 

 

 疲れないマインドセット

筆者はここまで述べてきた理論と実践以外に非常に重要な要素があるという。

それは、「マインドセット」、すなわち、「思考様式」「考え方」である。

 成長型マインドセット

マインドセットとは、その人の経験や教育によって形成される「考え方の枠組み」であり、心理学的に「行動や体に影響する効果」が確認された「思考のルール」。やる気云々の精神論とは異なる。

そして、疲れない体に必要なマインドセットは、「成長型マインドセット」。

成長型マインドセットの人は「疲れている=この疲れをなくせば、パフォーマンスが上がる」という捉え方ができる。

 

成長型マインドセットにシフトするには

 それには「yet」、「まだ~」という言葉がポイントになる。

「~できない」と決めつけるのではなく、「まだ、~できない」と考える。「まだ、自分には難しい」とその先を見据える。

 

成長型マインドセットと「超・短期目標」は2つで一つ 

「まだ~自分にはできない」としつつ、「そのうちできるようになるさ」、では意味がない。成功する選手は、必ず最終的な目標(長期目標)と「超・短期目標」をセットで設定している。

「まだ、できないなら、今の自分にできることは何か」という考え方だ。

 

一般の人では 

「今はまだ疲れやすいけど、長期的には疲れない体を手に入れる」という目標をもちつつ、「日常で疲れを溜めない」「今日の疲れは今日解消する」「明日の疲れを予防する」という超・短期目標を、この本のメソッドでクリアしていくことによって、「疲れない体」にたどり着く。

 

まとめ

疲労の蓄積は侮れない。

その究極は過労死だ。

この本の肝は先にも書いたように、IAP呼吸法だが、最終的には心の持ち方にまで言及している。

忙しいときは、「今日はあれもこれもやってしまおう」とタスクを詰め込みがちですが、決して「一日にできること」を過大評価してはなりません。仮にこなせたとしても、仕事の質は落ちていることが多いはずです。

慌ただしく時間に追われる一日の中でも、「ショートターム」を意識しましょう。今日の目標を作り、それを最小限の疲れで行いつつリカバリータイムも設ける毎日が、想定していた以上の速さとクオリティで目標に到達させてくれるはずです。

 (243ページ)

 

 

屋我地レースまで1ヵ月切ったし、甘いものはしばらくお預け…( ノД`)シクシク…

 

 

 

2018年5月トレーニングまとめ

f:id:r-sakima77:20180527192847j:plain

走行距離:1,007km

走行時間:35h9m

獲得標高:7,536m

消費エネルギー:18,680kj

 

 

最近思ったことというか、再認識したこと。

ポジションとかフォームだとか、フィッティング的なことだけど、

機材を身体に合わせようとしても限界がある。

身体の使い方も少しは機材に合わせないと。

歩み寄りというか。

 

 

5月の練習風景

f:id:r-sakima77:20180527193213j:plainf:id:r-sakima77:20180527193219j:plain

f:id:r-sakima77:20180527193308j:plain

f:id:r-sakima77:20180527193321j:plain

f:id:r-sakima77:20180527193433j:plain

f:id:r-sakima77:20180527193513j:plain

f:id:r-sakima77:20180527193519j:plain

 
 

 

 

 

スポーツ栄養学をメカニズムから知る

f:id:r-sakima77:20180512151033j:plain

スポーツ栄養学 寺田新

この本は、スポーツにおいて「回復やパフォーマンスの向上にはこういう食事をとるべき」というような直接的な内容ではなく、「なぜそのように摂取すると効果的なのか?」というメカニズムを細胞レベル、分子レベルで解説することを目的として書かれている。

 

 

結構専門的

著者が東京大学教養学部後期課程統合自然科学科において担当している「スポーツ栄養学」の講義内容の一部をまとめたものということで、結構専門的である。

 

どのぐらい専門的かというと、例えば、グリコーゲンの説明。

グリコーゲンとは、グルコースが連結された状態のもので、エネルギー源として利用される際には、グルコース(正確にはリン酸が付加されてグリルコース1リン酸)へと再度分解される。グルコースをそのままの状態で細胞内に保存するのではなく、いったんグリコーゲンへと変換して貯蔵するのは、一つの大きな分子になることで、肝臓や骨格筋の細胞内の浸透圧を下げ、より多くの糖質を細胞内に貯蔵できるようにするためである。細胞内の浸透圧は溶けている物質のモル濃度に比例して増加するが、グルコースのまま貯蔵しようとするとモル濃度が増加してしまい、浸透圧を薄めるために大量の水が細胞内へ流入してしまうため、多くの糖質を貯蔵できなくなってしまう。一方、グルコースを連結すれば、モル濃度、さらには浸透圧が下がり、より多くの糖質を貯蔵できる(P75)。

 

こういった説明に図が挿入されていたりして、生物の教科書のような感じ。

 

そして、このような基本的な細胞レベル、分子レベルのメカニズムを説明したうえで、筋グリコーゲン量を高めるグリコーゲンローディング、運動前の糖質補給、運動後のグリコーゲン回復、運動におけるグリコーゲンの消費の抑制、さらには、糖尿病の原因、糖質制限食の効果などを説明していく。

糖質制限食については、「現時点においては糖質を制限するメリットは必ずしも大きくないかもしれない。」としている(P103))

 

 

同様の構成で、エネルギー消費量と摂取量、たんぱく質、脂質、運動中の水分摂取法とスポーツドリンクの効果、サプリメントの考え方などについて書かれている。

  

サプリメントについて

サプリメントの部分は、関心が強いだけに印象に残るところが多かった。

 

「ポパイのほうれん草」のように接種してすぐに、効果を発揮する物質は、間違いなくドーピング禁止薬物になるはずである。普段の食事に気を付けたうえで、ほんの少しの上積みを期待して摂取するのが、エルゴジェニックエイド(パフォーマンスの向上を期待して摂取するサプリメント)を使用するうえでの正しい姿勢である(P224)。

 

ポジティブデータが論文になりやすい

また、サプリメントエビデンスについては、

論文として世の中に公表されるデータの多くは、その物質に効果が認められたというポジティブな内容のものが多くなる。効果がないというデータが得られた場合、データやその内容に新規性がなく、世の中に対するインパクトも小さいため、研究者としてはそのデータを公表したいという動機が薄れていく。このことを「パブリケーションバイアス」と呼ぶ。したがって、「効果あり」というポジティブデータが論文になりやすい(P226~227。太字、アンダーラインはブログ主)。

 

本当にその情報が正しいか確認するのは容易ではない。

(基礎実験、疫学研究・観察研究、ランダム化比較試験(RCT)、メタ解析、系統的レビューなどの順で信頼性が高まるとのこと…)

 

そこで、一般の人でも確認できるサイトとして以下を挙げている。

「健康食品」の安全性・有効性情報〔国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所〕

オーストラリアのスポーツ科学研究所(英語…(>_<))

 

 

カニズムからスポーツ栄養学を学ぶ理由は?

さて、結構専門的な本書であるが、メカニズムからスポーツ栄養学を学ぶ理由は何か。

 

健康の維持・増進、ダイエット法など、書店やインターネットには情報が氾濫している。「長生きするためには肉を食べるな」や「糖質の接種量を制限すべき」という情報がある一方で、「肉食系の人は長生き」、「米を食べないと不健康になる」といった本が販売されていたりする。しかも、このような本はいわゆる「専門家」といわれている人が執筆している本であり、いったい何を信じたらいいのか、どのように対処したらいいのか一般人が判断するのは至難の業である。

少なくとも、世の中すべての人に当てはまる理論はなく、個々人の様々な要因によって必要なものが変わるということは言える。

それらを総合的に考え、氾濫する情報の中から自分や身の回りの人に当てはまる情報を取捨選択する能力が必要となってくるが、身体に関する基本的な知識、栄養素の接種にともない体内・細胞内でどのような変化が生じているのか、といいうことを知っておくのはその第一歩になる(P6)。

 

食事を摂れば、それらがすべて身体に取り込まれ、身体の状況が一変するというわけではない。身体は一見安定した状態を保っているようで、実はその中身は少しずつではあるが絶えず入れ替わっている。これを専門用語では「動的平衡」という。したがって、食事で身体を変える。より良い方向にしていくというのは、そのような毎日行われながらも目に見えない動きの中において食事を整えることで、少しずつ身体の中身を入れ替え、スポーツ選手に適した身体、健康的な身体へと長い時間をかけてゆっくりとつくりかえていくことに他ならない(P4)。

 

 

DNA(デオキシリボ核酸)、TCA回路、ATP、モル濃度、浸透圧、ミトコンドリア、などなど、生物用語がたくさん出てきて、高校生物の勉強を思い出した(笑)

 

 

 

 

 
 

不滅の遺伝子

f:id:r-sakima77:20180427212240j:image

利己的な遺伝子  リチャード ドーキンス

 

リチャード・ドーキンスはイギリスの進化生物学者、動物行動学者。

この本の初版の出版は1976年。今回読んだものは40周年記念版。

 

この本の内容を一言で説明すれば、

「すべての生物は、遺伝子を運ぶための生存機械だ」

ということになる。

 

この表現は、当時、多くの人に衝撃を与えたらしい。

それまでのダーウィンの進化論では説明できない、生物個体の利他的行動を説明できたという点で、パラダイムシフトをもたらした。

それまで個体レベルで考えられていた自然淘汰を遺伝子レベルで説明している。

 

ここでいう利他主義とは、自分自身の生存や繁殖の可能性が低くなっても、他者の生存や繁殖の可能性を高める行為のことである。

例えば、ミツバチのような社会性昆虫の場合、働きバチは不妊であり、自らは子孫を残さずひたすら女王バチに献身する。また、外敵が近づけば、自らの命を犠牲にして(針で刺すことによって絶命する)、攻撃する。

個体レベルで見れば、自分自身の生存や繁殖を犠牲にして、他者の生存や繁殖を高めていると言える。

なぜそのような行動をとるのか。

仮に働きバチが繁殖したとすると、その子に自分の遺伝子が引き継がれる割合は50パーセントであり、女王バチの繁殖を助けて自分の妹を助けると、その妹は自分の遺伝子の75パーセントを引き継ぐことになる(割合の計算は精子及び卵子作成時の減数分裂、交叉及びミツバチの繁殖方法によるもの。長くなるので詳細は省略)。

とすれば、働きバチとしては、自らが繁殖活動をするよりも、女王バチの繁殖を助けたほうが自らの遺伝子を多く残せることになり、自らの命を犠牲にしてでも、その他の沢山の妹たちの命を救うことが、自らの遺伝子(のコピー)の生存確率を上げることになるのである。

 

イルカが溺れた人間を助けたというよく聞く話については、以下のような説明をする。

イルカは群れで生活するが、その群れの中には近縁である個体がいる可能性が高い。したがって、自らの遺伝子の生存確率を上げるためには、溺れかけている群れのメンバーがいれば、助けることが必要だ。そのために必要な生存機械(個体)への規則(プログラム)は、「水面近くで息ができずにもがきまわっている細長い物体」がいれば助けろということになる。

イルカが人間を助けることがあるのは、その規則の誤用だという。

 

雄と雌の利害の対立も遺伝子レベルで説明する。

理論的には個体というものは、可能な限り多数の異性と交尾して、しかもそのつど子育てはすべて相手に押し付けることを「希望」する。少ない投資(精子または卵子の提供)で自らの遺伝子を多く残せるからだ。

しかし、雌は大型で栄養をたっぷり含んだ卵子の形ではじめから雄より多く投資しており、また、妊娠する種も多く、雌はどの子どもに対しても雄より深く「身を投じて」いる。

どのような種でも、雄の側には別の雌とさらなる子どもを作ろうとさせるような進化的圧力がある程度作用しているのはあたりまえと見るべきで、精子より卵子が大きいという事実が、雌の側が搾取されやすいということを生み出した基本的な進化的根拠なのだ。

もっとも、雌の側もこれに対抗するために、交尾に応じる前に雄が子どもに対して多量の投資をするように仕向けることによって、交尾後の雄を、もはや妻子を棄てても何の利益も得られない状態にする戦略(「家庭第一の雄を選ぶ」戦略)をとったりする。

このような対抗策に対して、雄がどのような形で対応するかは、種をめぐる生態学的な状況が決定する。

 

人間はどうか。

男性は一般的に乱婚的傾向、女性には一夫一妻制的な傾向がありつつも、基本的には一夫一妻制の社会が多い。

しかし、一方では乱婚的な社会もあるし、ハーレム制のような社会もある。この驚くべき多様性は、人間の生活様式が、遺伝子ではなくむしろ文化(ミーム)によって大幅に決定されていることを示唆しているという。

 

その他にも、親子間の利害の対立、動物の産児制限なども遺伝子レベルで説明している。

 

種のなかでどのような戦略をとる個体が多数を占めるようになるか、という部分は反復囚人のジレンマ、ノンゼロサムゲームなど、ゲーム理論の話がでてきて面白い。

 

人間の文化については、遺伝子以外の新たな自己複製子として、「ミーム」という概念を提唱している。

 

 

ドーキンスは「すべての生物は、遺伝子を運ぶための生存機械だ」と表現することによって、生物の世界を、遺伝子を単位とした生き残りのための非情な世界として描いた。動物の利他的行動のように見えるものは、遺伝子が生き残るための戦略に過ぎず、利他的行動を否定したことから、多くの人にショックを与え、たくさんの批判を受けたらしい。

ある人には三日間眠れなかったと告白され、また、遠い国のある教師は

私(ドーキンス)に避難がましい手紙を寄越し、この本を読んだ一人の女生徒が、人生は空しく目的のないものだと思い込み、彼のところに来て泣いたと言ってきた。この教師は、他の生徒が同じような虚無的な悲観論に染まることを怖れて、彼女に友達にはこの本を見せてはいけないと忠告したそうだ。(P20)

 しかし、ドーキンスの意図はそうではない。

おそらく、宇宙の究極的な運命には目的など実際存在しないだろうが、・・・私たちの生活を支配しているのは、もっと身近で、温かく、人間的な、ありとあらゆる種類の野心や知覚である。人生を生きるに値するものにしている温かさを、科学が奪い去ると言って非難するのは途方もない間違い・・・(P21)

 

また、人間については以下のような希望に触れている。

人間には、意識的に先見する能力という一つの独自な特性がある。

一方、利己的存在たる遺伝子に先見する能力はない。

私たちがたとえ暗いほうの側面に目を向けて、個々の人間は基本的には利己的な存在だと仮定しても、私たちの意識的に先見する能力(想像力を駆使して将来の事態を先取りする能力)には、自己複製子(遺伝子やミーム)たちの引き起こす最悪で見境のない利己的暴挙から、私たちを救い出す力があるはずだ(P344)。

 

 

矛盾に満ちた自分自身の思考や行動について、何かヒントのようなものをもらえた気がする。

 

 

 

利己的な遺伝子 40周年記念版

利己的な遺伝子 40周年記念版

 

 

 

神は妄想である―宗教との決別

神は妄想である―宗教との決別

 

 

 

OGK Kabuto FLAIR L/XLの重さ&インプレ!

f:id:r-sakima77:20180503083426j:plain

OGK  Kabuto FLAIR(フレアー)

 

4年ぶりにヘルメットを新調した。

これまでは、同じOGKのKOOFU。

 

 

  

f:id:r-sakima77:20180503083453j:plain

 

f:id:r-sakima77:20180503083220j:plain

 

f:id:r-sakima77:20180503083514j:plain

 

 重さは?

気になる重さは…

f:id:r-sakima77:20180503083536j:plain

194グラム。

ノーマルインナーパッド、ノーマルのアジャスターをつけての重量。

アジャスターを軽量のものに交換すると更に12グラム軽くなるらしい。

 

対するKOOFUの重さは…

f:id:r-sakima77:20180503083614j:plain

213グラム。

インナーパッドはA.Iパッド。

 

ノーマルパッド同士の比較ではないので、フェアではないけど、

19グラムの軽量化。

割合で考えれば、1割弱。

値段も比較的安いし、コスパ高い。

 

f:id:r-sakima77:20180503083953j:plain

幅はKOOFUとそんなに変わらないかな?

 

外で被るのが楽しみだ。

 

<2018年6月2日インプレ追記>

1ヵ月使用してのインプレ 

気に入った!

 

まずは良い点

1.軽い、首の負担軽減。

これまで使っていたKOOFUも軽量の部類だけど、それでも19グラムの軽量化で結構首の負担が軽減される。 ロング走の後によくわかる。

トライアスロンでは空力を重視したヘルメットを被る人が多いと思うが、長い距離、時間だと、体力の温存でこのヘルメットの方が良かったりするかも。

 

2.前傾を深くとったときに前方を見やすい

メーカーの説明にもあるが、前方が見やすい。ヒルクライムだけでなく、クリテリウムなどの長い時間前傾が深くなりやすいレースでもいいんじゃないだろうか。

DHバーを握るトライアスロンもいいかな。

あとは、フルームみたいにあまり顔を上げて走りたくない人にもいいかも(笑)

ただ、朝練の時に朝日が眩しいことがある。

 

3.結構涼しい

KOOFUはAIネットを使用していたので、単純比較はできないが、FLAIRのほうが涼しい。

 

4.気持ちコンパクト

KOOFUと並べた写真で少しわかるかもしれないが、気持ちコンパクト。

KOOFUよりはキノコらない(はず)。

 

5.フィット感がよい

これは個人的なものだけど。KOOFUは強い衝撃が来たときにずれることがあったが、FLAIRはびくともしない。

 

6.安い!

そもそも同じOGKのゼナードや外国メーカーのヘルメットと比較しても安い。

KASKのヒルクライム向け軽量ヘルメットのVALEGROはLサイズ240グラム、価格が¥28,500+税ということで、重さで40グラム以上、価格で1万円近く差がある。 

 

 

続いて悪い点というか、注意点

1.あごひもが軽量でちゃんとしめないとバタつきやすい

f:id:r-sakima77:20180602182935j:plain

軽量化のために、他のヘルメットと比べて、あごひもに余分なパーツがついていない。

なので、スピードが出るとき(下りなど)にはあごひもをちゃんとしめていないとバタつく。もちろん、ちゃんとしめていればバタつかない。

あごひもをちゃんとしめるのが嫌な人にはダメかも。

 

2.マットカラーしかない

今のところマットカラーしかない。個人的にはツヤツヤしてるのがいいな。

 

 

まとめ

あごひもをちゃんとしめるのは、安全上必要なことだし、個人的には気にならない。

カラーは慣れるし。

それよりもこれまでのKOOFUと比較して良い点が多く、買ってよかったなと思う。

 

7月までは破損交換登録店にある在庫分のみ購入可能。

www16.plala.or.jp

 

  

 

Kask - Valegro ロードヘルメット(Wiggle)

 

2018年4月トレーニングまとめ

f:id:r-sakima77:20180428112415j:plain

 2018年4月

走行距離:763.09km(̠-35.3km)

走行時間:27h10m(-4h36m)

獲得標高:4,976.6m(-784.9m)

消費エネルギー:14,955kj(-704kj)

※()は前月比

 

今月から上げていこうと考えていたが、仕事が忙しく、毎日ぐったり。

朝起きられないので平日の練習があまりできず、現状維持で精一杯だった。

 

今年度、仕事は落ち着くかなと思いきや、どうもそうではないような雰囲気…

仕事も自転車もペース配分をしっかり考えていかないとガス欠しそう。

 

現状維持じゃなくて、現状打破するにはどうしたらいいか。

ちゃんと考えないと。

 

 

f:id:r-sakima77:20180430134150j:plain

f:id:r-sakima77:20180430134208j:plain

昨日(4月29日)は久しぶりの中部練。

参加者数も多く、いい雰囲気。

じっちゃくさん、印南さんに苦しめられ、かなりいい練習になった。

じっちゃくさんのダンシングは強烈だった。

帰路はトレインに乗ることもできず、家に帰ってぐったり。

 

 

f:id:r-sakima77:20180429192957j:plain

チキントマト煮

最近練習で疲れているときはこれ。一番回復しやすいと感じる。

作るのも簡単。トマト缶を使うから失敗しないし。

鶏むね肉、にんじん、玉ねぎ、ピーマン、ブロッコリー、しめじ、豆類をトマト缶で煮込んで、バルサミコ酢オイスターソース、赤ワインなどで味をととのえる。

鶏むね肉のイミダペプチド、しめじのオルニチンは疲労回復に一役買ってそう。

ブロッコリーのビタミン&ミネラル、トマト缶のリコピンなどなど、ほかにも体にいい栄養素をたくさん取れそう(自分で言い聞かせる、ここ大事(笑))

なにより脂質が少ないのも嬉しい。

 

そんなトマト缶、値段も安くて重宝するが、今朝の朝刊によると、グローバル企業による搾取が背景にあるとか。

 

 

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

 

 

 

トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)

トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)